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劇場つながり

各種観劇日記。基本的に劇団四季のみ、のはずが最近は色々と手を広げてます。書きやすさ優先でレポ内の俳優名は敬称略ですのでご了承くださいm(_ _)m

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よ!極悪人!!   藪原検校《2015年3月7日(土)》 

前回井上ひさしの作品を観たのが2年ちょっと前。
「組曲虐殺」という作品だった。
良い意味で如何にも日本の演劇という感じが新鮮だったし、
重い題材を扱いながらも、どこか優しさに溢れた作品だった。
その後はチェックはしていたものの、次の井上作品を観るには至ってなかった。

そして前回野村萬斎を観たのはチェーホフの「かもめ」で約1年半前。
この時初めて野村萬斎を観てすごく興味が湧いた。
何やら引き出しが多そうだし、独特の雰囲気を放っていて
何の役をやっても面白そうだと思った。
賛否両論あったようだが年明けに放送された「オリエント急行殺人事件」は
十分に楽しんだ。
エルキュール・ポアロのいけ好かない感じが存分に出ていて、
これは野村萬斎らしいなぁと。
いけ好かなさの中にもしっかりと知性が透けて見えていて良かった。

そんな井上ひさし作品と野村萬斎が出会ったのが今回観た「藪原検校」だ。
チラシで知った時にこれだ!と思いすぐにチケットを取った。

やって来たのは三軒茶屋にある初めての世田谷パブリックシアター。
150307_1.jpg

建物もきれいだし、客席は両サイドが内側を向いていて観やすいし、
規模的にもキャパ600とほど良い感じ。


という今回のキャスト。

杉の市(後の二代目藪原検校):野村萬斎
お市・相対死の片われ女   :中越典子
語り手役の盲太夫      :山西惇

大鷹明良
酒向芳
春海四方
明星真由美
家塚敦子
山﨑薫
辻萬長
千葉伸彦(ギター奏者)


あらすじはこんな感じ。

======================================================================
盲目で生まれた杉の市は、盗みや脅しは当たり前、ついには人を殺めてしまう。
殺し殺してまた殺し、その手を血に塗れさせ、悪の限りを尽くしながら、
己の身と金の力を頼りに、江戸の盲人の最高位である検校にまで登りつめる。
東北の地から江戸へと流れてきた少年は、運命の大きな流れに流される―。
二代目藪原検校の、その悪行三昧、闇の世界の一代記。
======================================================================

あらすじにある通り、主人公である杉の市は完全な悪役。
悪役と言ってもどこか感情移入できるところがあっても良いんじゃない?と
思うくらいに感情移入が出来ない完璧な悪役だ。
良いところが一つもない(笑)
この作品では28歳で刑死した杉の市の17歳からの約10年間が描かれている。

多分この作品には色んなテーマというか問いかけがあるんだろうと思う。
どうしようもない悪人であっても『天辺まで上り詰める』という
ある意味向上心というかエネルギーというか生きることに執着する
杉の市からは『生きること』に対する何かを感じ取ることもできるだろう。

一方で最終的には世の中を平和に保つため、見せしめとして
これ以上はないという残酷な処刑のされ方で殺されてしまう杉の市。
個人的にはこっちの方が引っかかった。
1人の人間の命を犠牲にして、その他大勢を生かす。
その是非はいつの時代でも答えを導き出すことが出来ない永遠のテーマだ。
処刑されることに疑問の余地がないくらいに、杉の市をとことん悪役として
描くことによって、このテーマをストレートにぶつけてくる。

前に観た「組曲虐殺」の時は、登場人物が人間味に溢れていて
物語も楽しさ、悲しさ、怒りのなどそれぞれの感情がピークを越さないように
作られていて、それがあの作品から優しさのようなものを感じる
要因になっていた。
それに対して「藪原検校」は一切オブラートには包まずに
思いっきりテーマをぶん投げられる感じだ。
ラストシーンの後味の悪さに観劇後はしばらく何とも言えない
いや~な感じだった。
でもそのいや~な感じの向こう側にあるものを余韻として残すための
終わり方なんだろうなぁとも思ったりした。
この作品は観る人を選ぶかもしれないが、重厚ですごく奥が深い。
訳が分からん奥の深さではなく、色んなテーマをわかりやすい形で
提供してくれているように思える。
複数回観たらもっと色々と見えてくるんだろうけど、
観る側も結構なエネルギー使う・・・


あとはメインのキャストの感想を少し。

まずは杉の市の野村萬斎。
何をもって野村萬斎らしいと言うのかはわからないが、
自分が期待する野村萬斎だった気がする。
悪いことしかやらないし、話し方も動きも変な杉の市。
そんなおかしな役にピッタリだ。
なんとな~くだけど、この人は感情ではなく型で演じる人なのかな、と。
ポアロの型、杉の市の型など演ずる役のキャラクターを形として
具現化してからその中に自分を入れていく、みたいな。
そういう意味でこの人はすごいエンターテイナーなんだと思う。
そしてその型を一瞬の隙もなく完璧に演じる。

劇中劇のような形で早物語という浄瑠璃を面白おかしく演じるという
場面があった。
かなりの長さのこの場面がまさに完璧。これだけの物をよくもまぁこれだけ
完璧にこなすものだ、とつくづく感心してしまった。
この部分を完璧にこなすことで、杉の市というキャラクター、
そしてそれを演じる野村萬斎に観客をグッと惹きつける魅力が生まれる。

今度は普通の人の役で観てみたい気もするが、きっと何を観ても
奥にもっと色々もってそうな印象になるんだろうなぁ。
どれだけ深いものを隠し持っているのか・・・


語り手役の盲太夫の山西惇。
物語はこの役がストーリーテラーとなって進行する。
重く暗い作品の中で、この盲太夫だけがホッとできる。
この盲太夫の語り口は自分がイメージする井上ひさしっぽさだったりもする。
重い作品に対してのホッとさせる存在。
この役の存在が井上作品の優しさなのだ、と勝手に思っている。
山西惇のイメージもあってか、どこまでが演技なのかが境目が
よくわからないくらいに見えた。
この雰囲気が出せる人はそんなに多くないと思う。
この役自体もそうだが、この人の演技あってこそ生まれた優しさだと思った。


お市の中越典子。
この人が出たテレビドラマでは観たことがないタイプの役だった。
まぁドラマ自体あまり見ないけど。。。
杉の市に取りつかれていくお市をエロっぽさも交えながら演じていた。
個人的にはもっと妖艶さがあると良いなぁ、と。
あ、エロ目線ではなくw
妖艶さがもっとあると、杉の市に捨てられた後のお市の怖さがもっと
引き立ったかなぁ。
とは言え、この作品のこの役を演じるうえでは必要十分。


ということで井上ひさしの作品の別の面を見ることが出来たこの作品。
また別の作品にも手を出してみようかなぁ、と思える良い作品だった。
観るのも大変だし万人向けじゃないけどw
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Posted on 2015/03/11 Wed. 19:55 [edit]

category: その他舞台

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 |  # | 2015/03/16 10:37 | edit

Re: おはようございます。 

どうも!
中越さんはテレビで観たまんまでしたね。
山西さんは本文にも書きましたが唯一の救いでした(笑)
内容の明るい暗いにかかわらず、色んな背景を考えながら観れると
何を観ても面白いかなぁとは思います。
この作品は最後が一番エグかったですが・・・(笑)
まぁ、そうないとダメなストーリーだったんですけど。

結びの庭行かれたんですね!いやぁ、これほんと迷ったんですよねぇ。。。
日程と残席の関係でパスしてしまいましたが・・・

URL | nalaniconey #- | 2015/03/16 21:23 | edit

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