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劇場つながり

各種観劇日記。基本的に劇団四季のみ、のはずが最近は色々と手を広げてます。書きやすさ優先でレポ内の俳優名は敬称略ですのでご了承くださいm(_ _)m

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世界史はニガテです  壁抜け男《2014年3月8日(土)ソワレ》 

十二分に楽しめる作品ではあるものの、物語の結末と「人生は最高」と
前面に押し出されるメッセージとのギャップに釈然としない
気持ちも残る『壁抜け男』。

あの結末の後に「人生は素敵、人生は最高」という気持ちにはなりにくい。
まぁ余計なことは考えず演技と音楽と小洒落た空間を楽しめ良いのだが
好きな作品だけにこの釈然としない気持ちもなんとかしたい。
というわけで前回観たときに「今度は小難しく観てみよう」などということを
書いてしまった。

そんなこと書いておいていつも通りの「楽しかった~」的なレポートにすると
嘘つきおぢさんになってしまう。
おぢさんなのはどうしようもないが、嘘つきにはなりたくない。
というわけで自分としてはかなり珍しく、原作本なるものを買ってみた。
140308_3.jpg

原作なので物語上は舞台と大きく違っている部分はない。
ただ、デュティユル以外の登場人物が舞台とは違って、背景くらいの
役割だったり、イザベルは「ブロンドの美女」として登場する、
という設定の違いはある。
あとデュティユルは壁抜けの能力が身に付いてから1年間は能力を
使わないでいた、とか。
能力を使うきっかけが役所(原作では登記庁)の次長(舞台は部長)から
罵られたからというのは共通の設定だ。


とりあえず簡単にさくっと感想から。


原作を読んだ後に観る舞台はどんなものか、と思いながらやって来た自由劇場。
140308_1.jpg

セミの一生を終えたと思っていた下村デュティユルが再登場し
新聞売りに厂原時也が入り、この辺の違いも今回の楽しみになった。

という今回のキャスト。
140308_2.jpg

デュティユル :下村 尊則
イザベル :坂本 里咲
部長/刑務所長/検事 :青木 朗
八百屋/娼婦 :佐和 由梨
デュブール医師/警官2/囚人/弁護士 :明戸 信吾
B氏(公務員)/警官1/看守1/ファシスト:金本 和起
C氏(公務員)/乞食/看守2/裁判長 :川原 信弘
画家 :永井 崇多宏
M嬢(公務員) :戸田 愛子
A夫人(公務員)、共産主義者 :久居 史子
新聞売り :厂原 時也


さて、再び羽化した下村セミ、もとい下村デュティユル。
しがない小市民ぽさもありながらスマートさもある飯田デュティユルと比べて
見た目含めて(失礼!)スマートな感じはない。
ただ、その分ユニークさがありそのユニークさのおかげで作品の雰囲気が
より和やかになり、それが客席にも確実に伝わっている感じがあった。

そんな暖かさの中だからこそ際立ったのが裁判のシーンでの毅然とした態度。
後から考えると、これが自分的には結構ポイントになるシーンの一つだった。

最初の登場の時は観てる方もちょっとハラハラしながらという感想も
ちらほら見かけたが、自分が観た回に関しては特にそんなこともなかった。
そりゃあれだけのキャリアを持っている俳優なのだから、
しっかりと仕上げてきているんだろう。

デュティユルとしては、飯田デュティユルは石丸幹二直系の正統派で
下村デュティユルはちょっとわき道にそれている感じ。
これは単純にタイプの違いというだけで、どちらがいいとか悪いとかではない。
実際どちらのタイプでも作品にマッチしているし、自分はどちらも自然に
受け取ることができた。

カーテンコールで観客に歌わせるときはちょっとどもったりして
実はここが一番緊張してる?という感じで可笑しかった。
口もプルプルしてたしw。


そして新聞売りとしては初登場(?)の厂原時也。
ソング&ダンスで久しぶりに四季の舞台に復活している。
この人は存在感は小僧枠ではあるものの、ギラギラしているように見えて
ちょっとしたワルガキ風だ。
この役を有賀光一以外で観るのは初めてだったので、
新聞売りがあの声ではないことに最初はちょっと違和感を感じたが、
舞台が進んでしまえば特に気になることもなかった。
ただ全体的に暖かくて柔らかい雰囲気の中、この人だけは少し硬かったかな。

キャストに関してはこんなところだ。
カーテンコールもお約束のように2回観客も歌い、「人生は最高」という
雰囲気の中幕が降りた。


さて、自分がこの作品に対して暖かくなると同時に釈然としない気持ちにも
させる「人生は最高」という言葉。
原作を読んだうえで観劇した結果、この言葉はメッセージを伝えるための
手段として使われているのではないかと思った。
そのメッセージを伝える手段が原作と舞台の一番の大きな違いではないかと。

そのメッセージとは何なのか?ということを考えるためには、
この作品が書かれた背景を考慮しなければならないだろう、ということで
ちょっとだけ原作者やその時代背景を調べてみた。
学生だった頃、日本史は得意というか好きだったのだが、
世界史はまるっきりダメだったのでこれはちょっとした苦行だったw
カタカナの人名&地名が全く頭に入らず、毎回赤点みたいな感じで。
ま、苦行だったというほど調べてないけど。。。


この壁抜け男が書かれたのは1943年。当時は第二次世界大戦の真っ最中だ。
当時のフランスはナチスドイツの占領下にあった。
1940年にパリを含めたフランスの大部分が占領されている。
一応独立政府も認められてはいたものの、この政権は傀儡で実質的には
ドイツに支配されていたようだ。
ナチスドイツといえばアドルフ・ヒトラー。
力を手に入れ、行使し、最終的には滅んでいる。
時代や洋の東西を問わず、力を手に入れたものは使わずにはいられなくなり
その結果その力を手に入れたことによって滅んでいくというのは
よく聞く普遍的な話ではある。
驕れる者は久しからず、ということだ。

原作ではデュティユルは力を手にしてから1年間は何もせずにいたが
上司を陥れるために力を使って以来、その力の魅力に気づいてしまう。
そして銀行強盗などをして名が知れ渡る。
銀行強盗が目的というよりは力を使いたかったのだ。
さらにそれが自分だということを知らしめたいという自己顕示欲に捕らわれ
警察に捕らわれては脱獄を繰り返す。
舞台ではわかりやすくするためか、イザベルに知ってもらうためという設定に
なっている。
そして最終的にはその力によって・・・ということだ。
原作の作者であるマルセル・エイメはヒトラーを含めた権力者の象徴として
デュティユルを書いたのではないか?と思ってしまった。

マルセル・エイメは世の中や人物を風刺する作品を多く書いていたようだ。
そして自らが考える正義を行動にも移したりしていた。
戦時中ユダヤ人たちを擁護したり、戦犯としてとらえられた作家を
救出したりもしている人物だ。

観劇中裁判のシーンのデュティユルの毅然とした態度がポイントだったと
書いたのは、それはミュージカル版の制作陣はこのシーンでのデュティユルに
マルセル・エイメの姿を重ねたのではないか?と思えたからだ。

作品中では変に話を盛り上げたりせず、何かを訴えかけるわけでもなく
ドキュメンタリーでも書いているかのように淡々と物語を進行させる。
物語の意味はわかる奴だけわかってくれというくらいに感じる。

一方舞台作品の方はエンターテインメントという側面もあるし、
よりドラマティックでわかりやすい形で観客に対して理解を促している。

ここが壁抜け男という作品の原作と舞台の一番の違いだ。
伝えたいメッセージは同じだが伝え方が違う。

そしてそのメッセージとは何か。
自分がこの作品(原作&舞台)から受け取ったメッセージは
「ありのままの自分の人生を愛せ」ということだ。
デュティユルという人物はその反面教師的な役割を果たしているのかも。

ま、間違ってそうだけどw

自分としてはこの解釈で行くことにした。
とりあえず釈然としない気持ちはだいぶ楽になった気がする。

ということで見せかけだけでも小難しいレポにはなっただろうか?(笑)


で、その壁抜け男を観に行く前にテレビを見ていたらメレンゲの気持ちで
ウィキッドが紹介されていた。
岡村美南、苫田亜沙子、松島勇気が登場していた。
なんか観ていたら未見の松島フィエロが観たくなってきた。
岡村エルフィも進化してるかも、今ならグリンダも鳥原ゆきみだ。
鳥原ゆきみはウィキッド初演時にネッサローズで観ている。
そんな彼女のグリンダはいかがなものか?
というわけで久しぶりに突発することに。

そんなウィキッドのレポはまだもうちょっとだけお待ちを・・・


やっぱり演劇は小難しく見ない方が楽しいかもw


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Posted on 2014/03/09 Sun. 23:05 [edit]

category: 劇団四季:壁抜け男

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09

コメント

初 壁抜け 

こんにちは お久しぶりです。

私もソアレ観ていました!初めての「壁抜け」です。私 しばらく四季は観ていなかったので久しぶりでした。
楽曲やムードがとてもおしゃれで楽しめましたが、あのラストって・・・・・・
何だか悲しくなって来ました。娘と何だかシュールだね。などと話しながら帰って来ました。***

「ありのままの自分の人生を愛せ」ということだ。
デュティユルという人物はその反面教師的な役割を果たしているのかも・・というお言葉に何だかホッしました。

今回は私の苦手な四季調セリフ無かったし、下村さんが可愛らしくて良かったわ。お医者役の方他にも色々出てて最高!
原作本知りませんでした。読んでみようと思います。有難うございました。

壁抜けの技に単純に感動してしまいました。
飯田さんも良いのですね!もっとじっくり観たいと思いました。

URL | よこはまくりす #- | 2014/03/10 17:39 | edit

 

ほぉ~
おバカな私にはちょっと難しいです(笑)
壁を抜けられなくなる経緯は舞台と原作同じなんでしょうか?
デュティユルが抜けられなくなるのもそうだし、何故にイザベルまで?!と思ってるんです。

下様デュティユルはユニークなんですね!
今まで見たイメージだとアクの強い役で光る役者さんだと思ってたから、素朴な役ってどうなのかなぁ?と思ってました。

ウィキのレポが待ち遠しいです(笑)

URL | 朋美 #- | 2014/03/10 18:35 | edit

Re: 初 壁抜け 

>よこはまくりすさん

どうもお久しぶりです!
同じ公演を見ていたとは。。。和やかな雰囲気で良い感じでしたよね。
やはりあのラストには・・・となりますよねぇ。
「世にも奇妙は~」的な話かと思っちゃいます(笑)

まぁ僕の解釈というか受け取り方が合ってるのか間違ってるのか
良いのか悪いのかはわかりませんが、ホッとしていただいてなによりです。

下村さんお茶目な感じでしたよね。
あの辺はいかにも下村さんという感じがしました。
デュティユル以外だと特に男性陣の歌(声)が良いですよね。

壁抜けの原作は短編集です。
壁抜け自体も数ページしかなくて、10分もあれば読めちゃいます。
なので本が苦手な僕でも読めました。

飯田さんもとても良いのでチャンスがあれば是非観てください!

URL | nalaniconey #- | 2014/03/10 18:55 | edit

Re: タイトルなし 

>朋美さん

えぇ、僕も知恵熱出そうです。
というか昨日から鼻がグズグズで。。。花粉症のヨメが何ともないところ見ると
鼻風邪ひいたかもしれません。
小難しいこと考えてたせいですw

壁を抜けられなくなる経緯は舞台も原作も同じです。
ただイザベルが寄り添ったりしないですし、非常に切なく終わります。
内容を知らずに初めて読んだら「え?なに?どうして?で?」となります。

下村さんは確かにアクの強い役やらせたら天下一品ですが
デュティユルも無理ない感じで良かったですよ。
下村さんで唯一「違う」と思ったのは「異国の丘」の九重だけですね。

ウィキレポ・・・ええ、何とかします。明日中くらいには。。。たぶん。。。。
書く前の心の準備が必要なのですよw

URL | nalaniconey #- | 2014/03/10 19:01 | edit

管理人のみ閲覧できます 

このコメントは管理人のみ閲覧できます

 |  # | 2014/03/11 21:27 | edit

Re: メッセージ 

なるほど。。。
今を一生懸命生きていればこそ、何が起こるかわからない人生も最高、という感じでしょうかね。
ミュージカルにするにあたって、ポジティブな伝え方になっているので。

原作は読まない方が良いと思います(笑)
原作だと一人寂しく壁の中で泣いてますから。。。

URL | nalaniconey #- | 2014/03/12 08:42 | edit

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